時間割
3/9(月) | 3/10(火) | 3/11(水) | 3/12(木) | 3/13(金) | |
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09:00~10:20 | グループセミナー | 共通講義A | 個別講義B | 個別講義C | フリーディスカッション |
10:40~12:00 | 企業紹介 | 共通講義A | 個別講義B | 個別講義C | 個別講義D |
12:00~13:20 | 全体写真 | ||||
13:20~14:40 | 共通講義A | 個別講義B | 個別講義C | 個別講義C | 個別講義D |
15:00~16:20 | 共通講義A | 個別講義B | ポスターセッション | 個別講義C | 個別講義D |
16:40~18:00 | 共通講義A | 個別講義B | ポスターセッション | 個別講義D | 個別講義D |
18:00~ | 企業懇親会 | 懇親会 | 閉会式 |
グループセミナー
グループセミナーは4人程度の参加者が集まって1グループを作り、グループ内で自身の研究や興味を持っている話題について発表し合う企画です。1人あたり20~30分程度、スライドを見せながら話すことを想定しています。様々な分野からの参加が見込まれるため、専門外の方が聞くことも念頭に入れた構成でお願いします
企業紹介
協賛いただいた企業様から企業紹介をしていただきます。
企業懇親会
To Be Announced
ポスターセッション
ポスターセッションでは発表希望者がポスターを用いて自身の研究について発表します。自分に近い分野の発表を聞くもよし、あまりなじみのない分野の知見を仕入れるもよしの流動性の高い企画です。
懇親会
To Be Announced
フリーディスカッション
To Be Announced
閉会式
To Be Announced
共通講義A
A. 計算物理屋のためのGit/GitHub入門
- 講師: 渡辺 宙志(慶應大)
- 概要: 本講義の目的は、計算物理を研究する上で必要となるGitやGitHubの使い方の経験を通し、「現代的なソフトウェア開発とはどのようなものか」を体験してもらうことである。論文執筆やソフトウェア開発、講義資料の準備など、多くの知的生産活動は「一度作ったら終わり」ではなく、継続的な修正が必要となる。明示的に意識していなくとも、何か修正するたびにそれらのバージョンが上がっていくことになる。そうして修正を繰り返していく時、「しまった!新しいものを古いもので上書きしてしまった!」とか「いつの間にかソフトウェアが動かなくなっていた」といった経験をしたことがあるであろう。このような時に威力を発揮するのがバージョン管理システムである。本講義では、バージョン管理システムとしてGitを取り上げ、そのプラットフォームとしてGitHubを利用する方法を学ぶ。本来、Git/GitHubは多人数開発のためのツールであるが、個人のドキュメント管理、ソフトウェア開発においても大いに力を発揮する。講義の後半にはハンズオンを実施する予定である。
- 事前知識: 特に事前知識は必要としないが、Linuxでのコマンドライン操作に慣れていることが望ましい。また、エディタはVS Codeを使って説明する予定であるが、他のエディタを利用しても問題ない。
個別講義B
B-1. 計算物理学のためのJulia入門
- 講師: 金賀 穂(千葉大)
- TA: 大野 周平(横浜市大/理研)、水野 航希(名古屋大)
- 概要: Juliaは「使いやすさと速さの両立」を実現した革新的なプログラミング言語である。計算科学における多言語併用の課題を解決しうる点に本質的価値がある。しばしば個別に語られる「高速性」や「書きやすさ」といった利点は、両者を同時に満たすことの重要性を踏まえてこそ評価できる。学術分野でのJuliaの有用性は広く認識されつつあり、2025年にはGoogle ColabによるJuliaの公式サポートが開始され、米国物理学会 計算物理分科会(APS DCOMP)および米国産業応用数学会(SIAM)がSupporting Partner/Bronze SponsorとしてJuliaCon 2025に参画するなど、今後の発展が期待されている。本講義の前半では大野、水野が、Juliaの環境構築から入門、数値計算、可視化、パッケージ開発までを解説する。加えて、少数多体系物理学、スピントロニクス分野への応用例と開発中のパッケージを紹介する。後半では金賀が、量子マスター方程式の数値解析への応用例を詳述した後、これを題材としてパフォーマンス解析・最適化の手法を議論する。さらに、Journal of Open Source Software等への投稿を見据えたテスト設計や、研究室内プライベート・レジストリなど実践的な運用方法について述べる。講義全体を通してハンズオンを実施する予定である。
- 事前知識: 学部レベルの線形代数・量子力学
B-2. 原子核密度汎関数理論の基礎と最近の展開
- 講師: 吉田 賢市(大阪大)
- 概要: 原子核を核子の量子多体系として理解し,その構造やダイナミクスを記述することは,現代原子核理論の重要な課題の一つです。本講義では,さまざまな原子核に適用されつつある密度汎関数理論(DFT)に基づく核子多体ダイナミクスの基礎を紹介します。さらに,重い元素の起源に迫る近年の研究成果についても触れます。
- 事前知識: 本講義では,第二量子化記法(生成・消滅演算子)を用いた多体ハミルトニアンにある程度慣れていることを前提とします。
B-3. 数値くりこみ群とテンソルネットワークの系譜
- 講師: 奥西 巧一(大阪公立大)
- 概要: 現代的なくりこみ群的な自由度の削減と数値計算の組み合わせは、近藤問題に対するWilsonの数値くりこみ群に始まり、量子スピン鎖に対する密度行列くりこみ群、量子情報との融合によるテンソルネットワークへの一般化と段階を踏んで発展してきた。テンソルネットワークアルゴリズムの実用的な解説はすでにいろいろあるので、講義では、むしろその折々の発展の原点となった発想と物理的背景とついて紹介する。
- 事前知識: 学部レベルの線形代数、量子力学、統計力学の知識
B-4. 量子計算とテンソルネットワーク
- 講師: 藤堂 眞治(東京大)
- 概要: 量子計算は多体系シミュレーションや最適化など、従来の計算機では困難な問題に新たな可能性を拓く技術として注目されている。一方、テンソルネットワークは量子多体系のエンタングルメント構造を効率的に表現・操作する枠組みとして発展してきた。本講義では、量子計算とテンソルネットワークの数理的対応関係を解説し、量子回路シミュレーションや量子古典ハイブリッド計算への応用例を紹介する。さらに、サンプルプログラムを用いたハンズオンを通じて、両者の関係と計算科学の新たな展開を体験する。
- 事前知識: TAB
個別講義C
C-1. GPUによる数値線形代数
- 講師: 丹 愛彦(NVIDIA)、他
- 概要: 格子QCD計算、原子核構造計算、原子・分子・固体の電子状態計算など、量子力学で記述される現象の具体的な計算には行列固有値問題が現れる。このように、計算物理学の多くの課題には連立一次方程式や行列固有値問題が現れ、計算時間の主要因となることが多く、その短縮にGPUを用いた並列計算が有効である。そこで、本講義枠では大手GPUメーカーから講師を招聘し、行列積や対称行列固有値問題などを題材とした講義とハンズオンを行う。参加者各自がOpenBLAS/LAPACKとGPUライブラリによるサンプルコード動かしながら、GPUアクセラレーションを体験する。
- 事前知識: CLIの基本操作、行列とベクトルの基礎
C-2. テンソルネットワーク入門
- 講師: 西野 友年(神戸大)
- 概要: 小学校で筆算による足し算を習う時に、誰もが密かにテンソルネットワークを学んでいる。和室の畳を並べる時、石を積み上げる時、席替えをする時、意識せずにテンソルを操っているかも知れない。 テンソルネットワーク的な構造を自然の中に、あるいは人工的な構造物に見つけ出すと、その時点から「専門家」としての歩みが始まる。 イジング模型は提唱されたその日からテンソルネットワークであった。密度行列繰り込み群に端を発する行列積を用いた量子状態の表現を通じて、数値計算を使ってテンソルネットワークを扱う演算テクニックについても時間の許す限りお伝えしたい。
- 事前知識: TBA
C-3. 有限長量子情報理論
- 講師: 林 正人(名古屋大)
- 概要: この講義では、量子系における符号化に関連する情報理論を、有限長の枠組みで考察します。主な内容は、情報源圧縮や通信路符号化といった符号化理論に加え、秘密乱数の抽出などのテーマです。これらは量子鍵配送の基礎となる重要な概念であり、さらにそれを応用して、量子暗号における有限鍵の安全性評価についても取り上げます。
- 事前知識: 線形代数と初等確率論の知識を前提とする
C-4. 動的モード分解の手法と理論
- 講師: 武石 直也(東京大)
- 概要: データに基づく力学系解析の方法として動的モード分解が様々な分野で活用されている。本講義では、動的モード分解の基礎を紹介し、最近の展開にいたるまで諸手法を概観する。また、動的モード分解の背後の理論としてよく参照される作用素論的力学系解析についても議論する。
- 事前知識: 基本的な線形代数
個別講義D
D-1. AI・機械学習を用いた計算物理学入門
- 講師: 永井 佑紀(東京大)
- 概要: 本講義では、近年急速に広がりつつある機械学習の考え方と、その計算物理学への応用について解説します。機械学習に触れたことのない学生を主な対象とし、基本的な仕組みから出発して、関数近似や確率分布の学習といった枠組みを物理の視点から整理します。 講義では、機械学習が物理学の問題、例えば量子多体問題の扱いにどのように使われているのかを具体例を交えて紹介します。 また、Julia言語によって、量子多体問題の基底状態を実際に求める実習を行います。
- 事前知識: TBA
D-2. 大規模数値計算機によるQCDの精密計算
- 講師: 辻 竜太朗(KEK)、青木 保道(理研)
- 概要: 大規模数値計算機によるQCDの精密計算 原子核の中に働く「強い力」は、量子色力学(QCD)として定式化される。しかしQCDを出発点に、真空やハドロンの性質、有限温度での振る舞いなどを調べることはとても難しい。これは、低エネルギー領域でQCDは結合定数が大きくなり、摂動論などの解析計算が困難になるためである。格子QCDとは、非自明な場の量子論であるQCDを曖昧なく定義し、かつ、系統的に精度を上げながら評価することのできる、数値計算手法である。本講演では、KEK辻から格子QCDの概観について述べたのち、次世代フラッグシップ超高速計算機「富岳NEXT」に関連した内容を理研R-CCS青木から紹介する。
- 事前知識: 場の量子論の知識があると好ましい
D-3. 密度汎関数法の基礎と最新の展開
- 講師: 常田 貴夫(北海道大)
- 概要: 本講義では、密度汎関数法(DFT)の基礎的枠組みから応用計算への適用性までを概観する。あわせて、近年注目されている最新の研究動向についても紹介する。 量子化学を中心としつつ、計算物理の立場からも習得しておくべき基礎知識を解説する。
- 事前知識: 本講義を理解するためには、量子力学の基礎的な知識を有していることが望ましい。
D-4. 無衝突系の運動論シミュレーション入門
- 講師: 簑島 敬(JAMSTEC)
- 概要: 無衝突系とは、集団を構成する要素同士の衝突緩和時間が対象の時間スケールより十分長い系のことです。宇宙におけるダークマター構造形成や銀河、電磁プラズマがこれに該当し、長距離力である自己重力や電磁気力によって相互作用します。この時間発展は無衝突ボルツマン(ブラソフ)方程式によって記述され、その数値計算には粒子ベース解法やメッシュベース解法が用いられています。本講義では特にメッシュベース解法に注目し、基礎となる差分法からシステム方程式の数値解法の解説、及び公開コードを用いたハンズオンやコード実装を行いたいと考えています。
- 事前知識: 理系学部レベルの古典力学、電磁気学、微分積分の知識。Linuxの基本操作とテキストエディタ(emacs,vi,nanoなど)によるファイル操作。